2009/07/25

トビウオ

暑い日が続きます。一昨日から実家に戻っているのですが、マンションの裏には大きな雑木林があって、セミ、コガネムシ、アオスジアゲハなど季節を感じる昆虫達によく出会います。まだまだ雨は続くそうですが、あたりはすっかり夏模様。さて今回は夏ということで、トビウオの話と、水泳の話と、絵本の紹介です。

久々に実家に帰ってみると、以前は煮干が入っていたビンに、えらく恰好のいい魚が詰まっているではありませんか。
トビウオでした。煮干しなど足元にも及ばない存在感。結構大きいです。

あまり食卓では見かけないかもしれませんが、トビウオは今(初夏?夏)が旬の魚。「アゴ」という俗称で親しまれ、調理して食べるほかに干物でも売られています。上の写真が、そのトビウオの干物。「アゴ干し」です。アゴで取ったダシはなかなか上品でおいしいですよ。

……しかしながら乾いたトビウオを眺めていてもあまり面白くないので、トビウオが実際に飛んでいる動画を探してみました。これは屋久島へ向かうフェリーから、取材中のNHK鹿児島のクルーが撮影したもの。なんと45秒間飛び続けています。動画に収めたものとしては最長の飛行時間として、海外メディアでとりあげらげられたそう。



「海のスポーツ選手」と子供向けの図鑑か何かに載っていたのをよく覚えています。飛ぶというよりは、滑空ですね。大きな胸びれ、腹びれ、そして尾を器用に使って空中を滑っていきます。なんと一度に300メートル以上も飛ぶのだとか。常に体を軽くしておくために、食べたものはすぐに消化してスリムな体型を保っているそうです。ついでに生写真も。


トビウオを見てると、久々に泳ぎたくなってきました。私は基本的にスポーツは苦手で(そして嫌いで)、テニスと卓球以外見られたもんじゃない成績を叩き出していましたが、水泳だけは別格でした。タイムは全然良くありませんでしたが、ゆっくり長く泳ぐのが好きだったんです。高校の時に、水泳の授業を休むと補習で1km泳がないといけないルールがありました。何だかんだ休みがちな生徒だったので、結局2km泳ぐ羽目になりましたが、その補習は授業よりもよっぽど楽しいものでした。後ろの人が追い付いてくるので完全に自分のペースとはいきませんでしたが、ただひたすら泳ぐだけ。水泳の担当教官は頭の固い、厳しい先生でしたが、違う先生が担当だったならトビウオ見て泳ぎたいとは思わなかったかもしれません(笑 その時から好きなスポーツはと聞かれると、いくつか挙げる中に水泳を混ぜるようになりました。ちなみに水泳以外は全部ラケット競技です。
夏と言えば海なのでしょうが、海に遊びに行くよりも、市民プールとかで延々と泳いでいたいなあと……。誰か付き合ってくれないかなあ。そうそう、プールで思い出しましたが、小学校のプールの授業には自由時間があって、色々特別な遊びをしてました。私の中で代表的なのは「潜水」もしくは「イルカ」と呼んでいたもの。まあその……ただの潜水ですが、水の底を泳ぐのはすごく特別な気がして好きでした。次はクラス全員でやる「洗濯機」。これは多分有名なんじゃないかな……? まずプールの辺に沿って、全員が同じ向きに歩きます。しばらくすれば「手作り流れるプール」の出来上がり。浮かんでいるだけですいすい流されていきます。今の小学生もやっているのでしょうか。そうであって欲しいですね?。

最後に、トビウオの絵本を一冊紹介したいと思います。昔通っていたピアノ教室は幼稚園の一室で、毎週土曜日に先生が個人でやっておられました。自分が弾く時間になるまでの待ち時間、教室にある十冊くらいの絵本を何度でも繰り返し読んでいました。この絵本もその中にありました。私にとってすごく懐かしい、思い出の一冊です。



ビキニ環礁での水爆実験、第五福竜丸の悲劇をトビウオの親子を主人公に描いた作品です。ピアノ教室には幼稚園の頃から、中学に上がるまで通っていたのですが、何度も何度も読んでいたわりに、絵本の本当のメッセージに気付いたのは通い始めて数年経ってから。小学校で原爆の授業を受けた時に、この絵本が「死の灰」を描写したものだと理解しました。水爆実験が何を奪い、何を残していくのか。病気になってしまったトビウオのぼうやは、そのまま第五福竜丸や原爆で被曝された方々に重なります。平和への祈りが一層強まる夏、優しい絵と文章を通して歴史の一ページに触れてみては。